2016/01/29

「エシカルケータイ」について考える ~企業と私たちの役割~


 “自由意志が存在するのか”

最近、この議論にのめり込みすぎて、課題はおろか他のこともままならない(笑)、アムネスティユースネット、ICU大学2年のじゅんです。

昨年末、国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」主催、そしてアムネスティ日本もメンバーである、エシカルケータイキャンペーン実行委員会の協力のもと開催されたシンポジウム「エシカルケータイの作り方」に、ユースメンバー2人が参加してきました。
写真:当日の会場の様子
とても興味深い内容だったので、今日はその報告をします。
(ぼくも参加したかったのですが、体調を崩していて、行けませんでした・・・泣)


シンポジウム「エシカルケータイの作り方」より エシカル携帯とは…?

1. 「フェア」な携帯はどこが違う? 
講師:安田幸弘さん(テクニカルライター)

電子製品の小型化が進むと、部品がより小さく、構造も複雑になり、使う人が自分で修理することができなくなります。部品を小型にしても性能が変わらない特別な材料として、希少な鉱物が使われるようになります。製造過程では有害物質も使用するため、健康被害が起きることもあります。

スマホは電子製品の小型化の技術の集大成といえます。昔の電化製品のように修理することは不可能で、壊れたら交換する必要があります。フェアフォンとは、こうした問題に考慮し、部品交換が可能なケータイのことです。

2. 「FAIRPHONE」-そのコンセプトと今後- 
講師:ムーラン・ムーさん(FAIRPHONE蘇州事務所プロジェクトマネージャー)

FAIRPHONEはオランダの企業で、“フェアなケータイを作ろう”という社会運動をきっかけに設立されました。利益追求よりも、企業が社会に与える影響を重要視しています。

「私たちが考えなしにケータイを使用することで、鉱物を採掘する人びとや地元住民への人権侵害環境破壊に繋がっている」ということを、ビジネスを通して広く伝え、人びとの意識を高めようとしています。

紛争地域で産出される鉱物や資源を購入すると、その資金が鉱山を支配し、紛争の当事者である武装グループの手に渡ってしまいます。武装グループは得られた資金で軍備を進め、さらに多くの人の命を奪い、子どもを兵士として徴用するなど、紛争の悪化や長期化に繋がります。

FAIRPHONEは、人権侵害を助長するのではなく、地域住民の暮らしを支えるような調達と製造、販売を心がけています。商品は長持ちし、ユーザーが修理できるようなデザインにしています。使われている材料と価格の内訳をきちんと明記し、廃棄物が少なくリサイクル可能なものを目指しています。

製造過程では、労働者の人権、環境の持続可能性などを、監査だけではなく、しっかり評価しています。消費者としてこうした商品を買うことは、「フェアなケータイを使おう」という社会運動を支持することを意味します。
写真:フェアフォンについて説明するムーさん
フェアフォンの写真です。
カバー・本体・バッテリーに分けて、簡単に中身を見ることができます。
写真:フェアフォン
3.コンゴ民主共和国における採掘の状況とフェアフォンの意義
講師:田中滋さん(エシカルケータイキャンペーン/アジア太平洋資料センター)

鉱物資源が武装勢力の資金源となって、紛争が長引いている国の一つに、コンゴ民主共和国(DRC)が挙げられます。首都キンシャサから遠い東部には、ケータイに使われる鉱物タンタルが大量に埋まっています。資源争奪が紛争の火種となって、多くの人びとが犠牲となり、ゴリラなどの野生動物にも影響が及んでいます。

人権侵害や環境破壊に加担しないよう、調達過程を透明化するために、スズを扱う団体「ITRI」はトラッキングタグを使って、鉱物を掘った人までたどることができるようにしています。しかし、鉱物価格が低下しているため、鉱山で働く人びとの生活は厳しいままです。

ヨーロッパでは、ボイコットではなく、フェアフォンを買うことで支援するという消費者が増えてきています。商品の透明性を高めることは当然であり、原料から製品となり消費者に届くまでに関わっている人びとの生活向上に、どれだけ企業や消費者が貢献できるかということが重要です。
写真:当日の配布資料
*エシカル携帯について、もっと知りたい方はこちらへ:参考「エシカルケイタイキャンペーン」


話を聞いて、考えさせられたこと。 ~まりこ、りさ、じゅん~

まりこ

青学生なのにキラキラてないので、女子力が欲しいまりこです!

コンゴの紛争鉱物については以前から知っていましたが、てっきり今では、大企業のほとんどがこの問題に配慮していると思っていました。今回のシンポジウムに参加して、多くの企業が「エシカルな鉱物・金属調達に関する公開質問状」に答えていないことを知りました。

自分が普段から使っている、某大手企業の携帯、今この記事を書くために使っているパソコン、毎日髪を整えるために使っているヘアアイロン・・・これらすべてが、紛争鉱物によって作られているかもしれない、という事実に衝撃を受けました。

普段ニュースや新聞でアフリカでの紛争、野生動物への被害を見聞きしたとき、「大変だな」「かわいそう」と単純に思っていた自分が恥ずかしくなりました。間接的ではありますが、“自分も加害者の一人である”ということに気付かされました。きっと多くの日本人がそうなのではないでしょうか。

私たちは、自分が普段の生活で使っているものが、どこの国の誰によって作られたのか、まったく分かりません。分からないからといって、事実から逃げてはいけないと思いました。そして、わからないからこそ、エシカルケータイの意味の大きさを感じました。

フェアフォンであれば、消費者は自分のケータイがどのような過程で作られていること、そして環境に最大限配慮していることがわかります。自信を持って、社会にプラスの影響を与える一員だと言えます。日本で売られていないことが残念ですが、発売される時は多くの人が、エシカルケータイを所持・利用することの意義に賛同して購入するようになればいいな、と思います。
もちろん、私も買おうと思います!


りさ

歌うことが大好きなICUのりさです♪

ディスカッションの中で、現時点でのフェアフォンは完璧ではなく、この商品を買うことによって社会運動を広め、より良くしていく段階だということを聞きました。初めから完璧なものを実現することは難しいから、できることからコツコツと、という姿勢なのだと思います。今フェアフォンが買えるのはヨーロッパだけですが、もっと賛同する人が増えて、フェアフォンもさらに「フェアで長持ちするもの」になっていってほしいです。

私がこのシンポジウムに参加したのは、フェアトレードに関心があるからです。話の中で、「ボイコットではなく製品を買うことで、支援を必要としている人びとを支える」ことの重要性を聞き、私は他のフェアトレードの問題、特にチョコレートの問題を考えさせられました。

私は今年の9月頃から、“フェアトレード商品であるチョコレートとコーヒー以外は買わない、食べない”という運動をしています。友人に紹介してもらったドキュメンタリーで、奴隷労働や人身売買の実態を知り、食べないことでアンフェアな取引やシステムを消費者として支持せず、反対の意を示したいと考えるようになったからです。

どこのカカオを使っているのか。きちんと労働者にお金が支払われているのか。これらがはっきりと分かるチョコレートは身近にほとんどありませんが、中には「買うとカカオ産地に支援のお金が送られる」というキャンペーンを打ち出しているものもあります。

このような商品でも、私は最低価格を保証し、労働者にお金が支払われていなければ・・・、と購入をためらってしまいます。今回の話を聞いて、こうしたキャンペーンにまったく参加しないよりは、したほうが支援につながると思い始めました。

私がどう行動すべきなのか、どうしたらこの状況を変えることができるのか、今は自信を持って答えることができません。前よりも、戸惑っているかもしれません。今回のシンポジウムで取り上げられていたケータイは1つの例です。私は他の問題についても、もっと学び、考えなければならないと強く感じました。


じゅん

風邪をひいて寝込んでいたため参加することはできませんでしたが、二人の話を聞いて、とても驚きました。特に、最近、エシカルケータイフェアトレードについて関心を持ち始めて、勉強していただけに、本当にショックでした。

最後になりますが、みなさん、僕がいうのもなんですが、体調には気を付けてください!体調さえ整っていれば、頭の中がすっきりし、物ごとをちゃんと考えることができます。フェアな商品を買う時には、とても重要なことです。



アムネスティ・ユースネット じゅん

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アムネスティ報告書「スマートフォンの裏に児童労働」を発表!
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写真:父親と一緒にコバルトの選別作業をする13歳の子ども
2016年1月19日、アムネスティ・インターナショナルは報告書を発表し、
アップル、サムソン、ソニーなど著名なエレクトロニクス企業の製品に、
コンゴ民主共和国での児童労働など
不当に採掘されたコバルトが使われていることを明らかにしました。
調査した鉱山では、7歳の子どもが過酷な労働環境で酷使されていました。
企業らはこの事実を認識していませんでした。


★★★ アムネスティ・ユース・ネット メンバー募集中!★★★
現在、ユースネットには、25歳以下のメンバー(主に小学生~大学生)を中心に、幅広い年代の人が参加しています。
アムネスティの活動を広げるために、メンバーの「こういうのやってみたい!」を、
みんなで実現するのが、ユースです。

年齢制限はありません。必要なものは、若い心と情熱です!
「自分はユース」と思う人がユース!

次回ミーティングは2月13日(土)16時から東京事務所で行います。
新しいユースの仲間を待っています!!!
写真:ユースメンバー
http://bit.ly/23x2dUm

2016/01/23

私の死刑に対する考え方~真理矢編~

こんにちは。
インターンの真理矢です。

私が活動の中で担当している死刑のことについて、自分が思うことを書きたいと思います。


私は正直に言うと、アムネスティのインターンを始める前に、死刑について深く考えていませんでした。ドストエフスキーの『罪と罰』を思い出しながら、改心の機会がなく、キリスト教の概念からすると、宗教的にも問題がある、ということぐらいですね。

しかし、アムネスティのあらゆる活動の中で死刑廃止キャンペーンに関わることができて、自分は死刑に対していったいどういう立場なのか、と考えるようになりました。



ここでは、少し自分の話をさせていただきます。昨年は、大切な親戚を失いました。死因は癌です。

その一年前から予想されていたことで、死そのものは突然な出来事ではありません。事故死や殺害による死よりも、多少は受け入れやすいかなと、出来事が起こる前まで思い込んでいました。でも、いざ起こってしまうと、ちっとも受け入れやすくはない、と発見しました。

そもそも癌があの状態まで進行したのは、定期的に診察を行っていた医者が見逃してしまったという背景もあります。人間は間違える生き物ですから、自分はその医者を責めたりしません。運命なのだと、癌と闘って負けても仕方のないことだと、割り切ってもいいところです。

私にとってとても大切な親戚は、もうそばにいません。私は癌という病気を怨めばいいのか、それを見逃してしまった医者を怨めばいいのか、分かりませんが、その人がいないという事実は変わりません

そして、どちらかを怨んだにしても、喪失感も消えませんし、その人も生き返ったりはしません。恐らく、それが事故死であっても、殺害による死であっても、その二つの事実だけは変わらないでしょう。

でしたら、死刑に果たして意味があるのでしょうか?大切な人を殺した犯人に恨みをぶつけて、死んでもらっても、大切な人は戻りません。大切な人のいないことに対する自分の気持ちも、落ち着きません。



そして、親戚の病死という体験をもって、もう一つ思ったことがあります。私はその親戚とここ数年、連絡を頻繁に取ることができない状況にいました。連絡を取れないけれど、常に思っていて、常にその親戚の話をしていて、ショッピングをする度に、この物ならその人に気に入ってもらえるだろうと思っては買ったりしました。

近くにいなくても、私たちには可能性がありました。思い出して懐かしんで憂う過去があり、思い合う現在があり、期待する未来がありました。でも、今は憂う過去しか残されていません。命とは可能性なのだ、と思いました。


犯人はとても残酷な行為をして、死刑判決を受けたとしましょう。でも、犯人にも、親戚や共通の思い出と期待を持つ人たちがいます。犯人から、その人たちから、命という可能性と期待を奪ってもいいものでしょうか?死刑判決に賛同した、あるいはそれを黙認した自分は、その可能性を奪った責任を取れるでしょうか?



私は人間を信じています。人間は間違いを犯すことがあります。どんな間違いでも、やる気があれば直せます。しかし、この世で取り返しのつかないことはただ一つ、です。人が人を殺めた時は、その人が自分の間違いを取り返すことはできない一方、殺害者であるその人という間違いを、社会は直す可能性を持っています。

目には目を(lex talionisレクス・タリオニス、同害復讐法)という先史時代の方法を使って邪魔者始末を続けていれば、現代社会は人間の尊厳を守り、人道理念に基づいた民主主義的な社会と果たして呼べるのでしょうか?

死刑執行に関わる刑務所の職員、医者の道徳的・精神的問題や、生存の権利、(例えば、国連が推薦したStandard Minimum Rules for the Treatment of Prisoners 囚人の待遇のための標準最低限規則やその他の国連勧告に反映された)囚人に対して人間としての尊厳を守る義務、矯正制度の元々の意義などの問題を考えれば、なおさら論理的な結論が導かれます。

私は死刑反対だと、はっきり分かったのです。

活動の中で作った、死刑囚松本健次さんの絵を載せたしおり
真理矢


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オンライン署名にご参加ください!
学校へ行きたいと願うすべての少女たちのために。

★アクションに参加しよう!
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/sIerraleone_201511.html


エボラ出血熱の流行で閉鎖されていた学校が再開する目前の2015年4月、
シエラレオネ政府は「無垢な生徒たちに悪影響だ」として、
妊娠した少女たちの通学を禁止しました。
また、彼女たちが高校や大学への進学、就職に必要な試験を受けてはならないと発表しました。

この通学禁止措置によって、3,000人以上の少女が教育の機会を奪われると言われています。
さらに学校では、妊娠を調べるために、生徒たちが屈辱的な検査を強いられています。

禁止措置を撤回し、学校へ屈辱的な妊娠検査の中止を指示するよう、
シエラレオネの大統領に要請してください。

アクションに参加しよう!
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/sIerraleone_201511.html


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2016/01/22

インターンは見た…!アムネスティのイベントの裏側。~伏木編~

こんにちは!インターンの伏木です。
インターンをはじめて半分ほど過ぎました。
まだまだ慣れないこともありますが、インターンのみなさん、温かい職員の方々に見守られ楽しく過ごす日々はあっという間です。

そんな中、今回は、先日アムネスティ日本で行われたイベントに参加した時の感想を、お伝えしたいと思います。


12月12日に、(だいぶ前の話になってしまいますが…)アムネスティ日本の東京事務所で国際人権デーの一大イベントが行われていました!

パソコンが並ぶいつものオフィスには、お鍋やたくさんの野菜や…。(?!) そしてたくさんのボランティアの方々、参加者の方がいて、まるで違う場所のよう。 当日も朝早くから準備がはじまり、一日中様々なイベントが行われていました。

その中でも私が印象に残ったのは、 会場に置かれた様々な便箋。飾られた世界各地からの手紙。机の上に積み重なる手紙

死刑囚、松本健次さんに宛てたたくさんの絵葉書
ライティングマラソン」は、12月10日の「世界人権デー」の周辺に一斉に手紙書きを行う、アムネスティ最大の人権イベントです。
マラソンといっても走るわけではなく、手紙書き(ライティング)を長時間にわたって行うことから、この名前が付けられました。

暴力をもちいていないのに、自らの信念や人種、宗教、肌の色などを理由に囚われの身となった人や、不当に投獄されている人たち。手紙やハガキは、そうした刑務所にとらわれている人たちに宛てて、また、そうした囚人たちの釈放を求めて政府関係者に宛てて送ります。

12の国の12人の人びとに手紙を書きました
私は日々インターンのお仕事をする中で、世界中の様々な人権問題を知ります。
表現の自由の侵害、拷問や暴力、女性の権利の問題、死刑の問題…
それはひとつひとつがとても深刻で、私はこうした事実の前で、とても無力な人間に感じます。


ですが、たったひとりの力がたくさん集まれば、それは世界を変える大きな力になります。

逆に考えてみると、世界を変えようとする大きな力は、たったひとりの行動からはじまる。


今も自由を奪われ、苦しんでいるミャンマーの学生に手紙を書きながら、
そんなことをふと考え、自分も励まされた1日でした。

伏木

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2016/01/20

寄付する?寄付しない?

こんにちは。アムネスティ職員のシモンです。

何度かこのブログに登場させてもらっていますが、ここで改めて僕の仕事を紹介させてください。

アムネスティの職員としての僕の仕事は「ファンドレイジング」です!


ファンドレイジング??? 何それ? って感じですよね。

簡単に説明すると、NPOやNGO、病院や大学などの為にお金を集める仕事です。
例えば、アメリカのハーバード大学にはファンドレイザー(資金調達担当者)が何十人もいて、大学の授業や研究の為に寄付金を集めています。


ファンドレイジング(Fundraising)とは、民間非営利団体(日本では公益法人、特定非営利活動法人、大学法人、社会福祉法人などを含む)が、活動のための資金を個人、法人、政府などから集める財源確保のための手段。特に寄付金のみを対象に考える場合もある。
Photo credit: Kalexanderson via Visualhunt / CC BY-NC-ND


世界的に見てトップレベルに裕福な国、日本。

そんな日本だから多くの寄付が集まるだろう、と思う方もいるかもしれませんが、間違いです。
日本の寄付市場は年間約7千億円程度で、この数字は各国と比較するとイギリスの4分の1、アメリカの1割以下という大変低い数字なのです。

日本人はケチ?
これも違うと思います。寄付の仕組み作りやボランティアに対する教育が成熟されていないだけです。つまり寄付やボランティアの文化が発展してない。

そんな中、昨年12月に日本で寄付文化を広げるため、日本史上初の出来事がありました。
それが・・・寄付月間(Giving December)の誕生です。


寄付月間と名付けられた12月には、官民一体となって寄付に関する多くのイベントが行われました。
その中で、海外からあのビル・ゲイツさんを招いて楽天の社長・三木谷さんと対談を行うというスペシャルなイベントがあり、大きな話題になりました。 イベント当日、500人の会場はもちろん満員御礼(私も事前予約しましたが抽選に外れて惜しくも参加できず。。。)

米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(60)
米経済紙フォーブスの米国版長者番付では22年連続1位

ビル・ゲイツさんは言います。

「日本の億万長者はお金を何に使っているのかな?僕たちは子どもの死を減らすことに使うことにした。それが自分にとって価値があるから」

カッコイイじゃないですか!このセリフ!!
僕は億万長者ではないですが、世の中を良くしたいという思いは一緒です。

だから今日も元気にファンドレイジング!

今年もご寄付をよろしくお願いします!!



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オンライン署名にご参加ください!
学校へ行きたいと願うすべての少女たちのために。

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エボラ出血熱の流行で閉鎖されていた学校が再開する目前の2015年4月、
シエラレオネ政府は「無垢な生徒たちに悪影響だ」として、
妊娠した少女たちの通学を禁止しました。
また、彼女たちが高校や大学への進学、就職に必要な試験を受けてはならないと発表しました。

この通学禁止措置によって、3,000人以上の少女が教育の機会を奪われると言われています。
さらに学校では、妊娠を調べるために、生徒たちが屈辱的な検査を強いられています。

禁止措置を撤回し、学校へ屈辱的な妊娠検査の中止を指示するよう、
シエラレオネの大統領に要請してください。

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2016/01/13

注目される日本の難民受け入れ問題をめぐって 1

こんにちは、職員の山口です。

新年早々、シリア難民に関するニュースは後を絶ちません。
パリのテロ事件後、ヨーロッパでの難民受け入れはますます厳しくなっています。


2014年末からアムネスティ日本では、シリア難民を受け入れるキャンペーンを展開しています。
「#OpenToSyriaキャンペーン」と名付けた、このキャンペーンは
シリア難民を多く受け入れ、疲弊した近隣国の負担を世界で分担しよう、というものです。

キャンペーンの様子

2015年は、日本でも大きな動きがありました。
「第5次出入国管理基本計画」というものが作られました。

日本という国が、外国籍の人たちとどのように接していくのか、大枠を定めた計画が作られました。
東京オリンピックに向けた対策として、外国人観光客の出入国手続きをどうするか、
技能実習制度をどうするかというだけでなく、難民の保護についての政策も含まれています。


シリア難民をきっかけに、日本で難民の受け入れをどのようにしていくのか。
国民的議論が必要です。
カナダでは、今年2月までに2万5千人のシリア難民を受け入れを予定しています。

私たちの隣に、シリア難民の家族が引っ越してくるとすれば、どういう生活が考えられるのか。
真剣に考える必要があります。


テロ事件以降の難民危機から、日本の基本計画、他国での受け入れ政策について、
岩波書店の「世界」誌に掲載していただきました。


アムネスティ通信拡大版
「積極的平和主義」の矛盾 ― 国際貢献というならば難民の受け入れを
山口 薫

ぜひ、お近くの書店にてお買い求めください!



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オンライン署名にご参加ください!
学校へ行きたいと願うすべての少女たちのために。

★アクションに参加しよう!
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/sIerraleone_201511.html


エボラ出血熱の流行で閉鎖されていた学校が再開する目前の2015年4月、
シエラレオネ政府は「無垢な生徒たちに悪影響だ」として、
妊娠した少女たちの通学を禁止しました。
また、彼女たちが高校や大学への進学、就職に必要な試験を受けてはならないと発表しました。

この通学禁止措置によって、3,000人以上の少女が教育の機会を奪われると言われています。
さらに学校では、妊娠を調べるために、生徒たちが屈辱的な検査を強いられています。

禁止措置を撤回し、学校へ屈辱的な妊娠検査の中止を指示するよう、
シエラレオネの大統領に要請してください。

アクションに参加しよう!
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/sIerraleone_201511.html


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2016/01/07

2016年、何事にも自信過剰は禁物

新年あけまして、おめでとうございます。
アムネスティ日本 事務局長の若林です。

今年は、アムネスティ・インターナショナルが設立されて55周年の節目にあたります。我々としても、より存在感のある組織を目指し、新たな飛躍の年にしたいと思っています。本年も何卒よろしくお願いいたします。


最近、日本の文化や伝統技術、勤勉さ、質の高いサービス、寿司などの日本食、外国からの旅行客増など、日本のここがスゴ~イといった論調のテレビ番組や報道が多い。オリンピック招致を成し遂げ、株価も一定程度上がり、日本はまた自信を取り戻しつつある感じがする(調子に乗りすぎではと、チョッと心配)。

80年代にも、経済を中心に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」に代表されるように、自信過剰で、鼻高だった時期があった。しかし90年代に入ると一転して鼻をへし折られた。すなわちバブルが崩壊し、その後は「失われた10年」と言われたように、自信喪失の時期が最近まで長く続いたのである。
 
1980年、死刑廃止のための署名活動

日本人は、日本や日本人に対する意識として、何と浮き沈みが激しい気質なのだろうか。結局、この30年間、日本が世界と比べて、本質的に大きな変化を遂げたわけではない。日本人は、海外との比較で右往左往するのではなく、もっと「日本」を知り、謙虚に日本の良さ、悪さを認識しておくべきではないかと思うところである。

一方で人権状況をみると、日本は一貫して自信過剰ではなかろうか。海外から見た日本と、内から見た日本のギャップは大きく、総じて日本人は、日本では人権は守られて問題はないと思っているというのが私の印象である。最近では、2013年に国連のある委員会で、当時の人権人道大使は、「日本は世界一の人権先進国」だと言い放って、出席者の失笑を買ったことは記憶に新しい。

レバノンの難民キャンプ

例えば、日本は1981年に難民条約を批准しながら、難民認定などで、国際的な責任を果たしているとは言いがたい。世界が難民問題で揺れているにもかかわらず、2014年には5千人が難民申請をし、認定されたのはわずか11人である。また国連からは、国内人権機関の未設置、代用監獄などの刑事司法制度、死刑制度の廃止、ヘイトスピーチへの対応など様々な問題点が指摘されながら、ほとんど改善されてない。「慰安婦問題」も、その一つである。

実は自らの姿を客観的に見ることは簡単ではない。そうであれば、人権問題についても、国連やNGOの意見に耳を傾け、自ら国際基準等と照らし合わせて調査し、謙虚に正すべきところは正す姿勢が重要だ。「慰安婦問題」でも、日韓の政府合意で解決したと思ったら大間違いだ。最終的には当事者である被害者の方がたの納得感が最も重要である。この問題解決に際しても、自信過剰で自らの姿が見えず、当事者不在で人権問題の視点を間違えている証左ではなかろうか。何事にも自信過剰は禁物だ。


アムネスティ・インターナショナル日本事務局長 若林秀樹 


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2016/01/04

インターン卒業間近 ~ヨルダンでシリアの人びとに出会う~

こんにちは!インターンの萩原です。
実は、もうすぐ半年間にわたったアムネスティのインターンを終えます。卒業間際の11月22日から30日にかけて、中東ヨルダンに行ってきました!あまり馴染みのない国かもしれませんが、「死海のある国」と言えば分かる人もいるのではないでしょうか。


ペトラ遺跡を見て、死海に浮かび、砂漠で満天の星空を満喫・・・
ではなく、首都アンマンで暮らすシリア難民の家庭を訪れてきました。目的は、シリア難民の人びとの生活を知ること、そしてわずかながらの物資を渡すことです。現地でシリア難民を支援している市民団体の人たちと一緒に行動しました。

大学の卒業論文のテーマがシリア難民であったこともあり、私はもともとシリアで続く紛争や難民の問題に関心がありました。アムネスティのインターンを通して「何事も熱意をもって知ろうとする大切さ」を知り、ヨルダン行きを決意しました。
ヨルダンの首都アンマンの街
ヨルダンの人口は約600万人、国民の9割がイスラム教徒です。近隣シリアで紛争が激化する中、ヨルダンには多くの難民が押し寄せています。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、その数は約63万人、人口の1割以上に匹敵する数です!

ヨルダンにいるシリア難民は、UNHCRまたは政府から発行される「難民登録ID」があれば、食糧や教育、医療などのサービスを受けることができます。しかし、難民の数が急増し、支援は日を追うごとに縮小されてきています。私が出会ったシリア人の多くは、食糧支援を以前の半分に減らされる、定期的に支給されていた生活補助金の停止といった困難に遭っていました。また、IDがあっても、仕事をすることは許されません。警察に見つかると、国内の難民キャンプへ送られてしまいます。

シリア人たちの就労を許すと、自国民の職が失われてしまう。しかし収入のない難民63万人の生活を支援し続けることも大きな負担となる。

ヨルダンのこの状況に、シリア難民は先行きの見えない日々を送っています。それでも、現地のチャリティーグループや近所の人たちからの支援など、十分とはいえなくとも草の根の活動は確かに存在します。

今回の訪問で、私は7世帯約30人、センターで暮らす女性と子どもたち約50人のシリア難民と出会いました。状況は、一人ひとりさまざまでした。テレビやパソコン、ソファーなどが揃った清潔な部屋に住んでいる家族もいれば、家具をほとんど持たず、砂ぼこりの舞う壊れた家に住んでいる家族もいました。

状況は違っていても、彼らはみな戦争によって人権を脅かされ、奪われていることがわかりました。

仕事をしたくても働けない人たち。
勉強をしたくても学校へいけない子どもたち。
大切な人と引き裂かれた家族。
衣食住が不十分な生活を強いられる人たち。

戦争さえなければ」と思わずにいられません。

初めに訪問した家庭は、妻と二人の子どもと暮らすアンマールさん一家。アンマールさんはとても疲れた様子でしたが「ようこそ、入ってください」と私たちを招いてくれました。部屋は猫の尿のような匂いがしました。アンマールさんは体調を崩しているため、妻が警察に見つからぬようにハウスクリーニングの仕事をしています。周りに助けてもらいながら、何とか生活を送っています。
アンマールさんの暮らす家

母国で目撃した凄惨な光景を、涙ながらに話してくれた人もいました。孫のナタリーちゃんの肩を抱きながら、ファウジーヤさんはこう語ってくれました。

「この子の母親は撃たれて死んでしまった。その時、この子を腕の中に抱いていたの。ナタリーは今でも、『お母さんは何時に帰ってくるの?』と聞くのよ。ある日には、政府軍が母親の目の前で赤ちゃんの首を切り落とす光景も見た。そのあと母親も殺されたわ」

私は、ただじっと話を聞き、涙を堪えるしかありませんでした。

しっかり耳を傾け、少しでもその人の苦しみを分かち合うことができたら・・・。
そんな思いを抱きながら、その場に座っていました。

最後にファウジーヤさんは「私の得意料理で、今度、あなたたちをもてなしたいわ」と、笑顔で言ってくれました。

子どもたちと交流する機会も多くありました。戦争で家族を失くした女性や子どもが生活する施設を訪れた時には、みんなで千羽鶴をつくりました!




ねえ、次は?どうすればいいの?

右から左から、作りかけの鶴を持った小さな手に、肩を叩かれます。少し曲がって出来た鶴に満足しながら、次の紙に手を伸ばす姿がとても印象的でした。千枚の折り紙がなくなるまで、子どもたちは手を動かし続けていました。

子どもたちが大人になるころ、シリアは一体どんな状況になっているのだろう。
そう考えずにはいれませんでした。

戦争という辛い経験をし、自分たちの生活が厳しいにも関わらず、どの家族も「アハラン・ワサハラン(ようこそ)」と私たちを迎えてくれました。私たちにコーヒーと食事までご馳走してくれた人もいました。そして、いつも互いに温かい笑顔を向けていました。イスラム教には「客人をもてなす」という文化があります。苦境の中でも、人からもらうだけではなく、人に与えるという精神をとても大切にしているのだと思いました。
シリア人たちの淹れるコーヒーや笑顔は「どんなに抑圧されても、変わらないものがある。自分たちの信条、人の温かさ、心の尊さまでは簡単に奪われない」という強い証のように感じました。


ヨルダンから戻り、いよいよインターン卒業が近づいてきました。世界の人権問題を知りたい、人権とは何かを考えたい、という思いからアムネスティの扉を叩き、そして今もまだ無数の人権問題があることに気付かされました。不当な逮捕された上に、拷問される。戦争によって家を追われ、苦しい生活を強いられる。脅迫され、命を狙わる。いつも「なんて理不尽だろう」と思うものばかりです。

そんな理不尽と闘うアムネスティと過ごした日々、そしてヨルダンへの訪問で、人権問題の渦中にいる人たちと出会い、五感を使って問題と向き合うことができました。さまざまな問題が「他人事」から「自分事」に、少し近づいた気がします。今後も、世界の一市民としてあらゆる人権課題に関心を持ち、自分にできることをし続けたいと思います。

この大切な第一歩を、アムネスティの人たちにお世話になりながら、踏み出せたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

半年間、ありがとうございました!
担当の山下さんと